こんど六年生になる見ず知らずの女の子と一緒に、温泉に入る話

第六話 くぱぁ

「のぉ、和人くんや。瑠美の割れ目も、きれいに洗ってやってくれんか。なにしろ、漏らしたションベンで汚れとるからのぉ……」
「は、はい……」
 相変わらずしゃがみ込んだままの私の前に、少女が立っていました。そのため、その秘すべき部分が、まさに目の前にあったのです。
 それでも、先ほどの一件、つまり老人に自らのイヤらしい行動を見られ、その真意をすっかりと悟られてしまったという思いから、躊躇する気持ちがあったのも事実でした。
 その一方で、特になにも言われなかったこと、それどころか、新たな指示をもらったことで、この行動を続けても問題ないのだという思いを強くしてもいました。それらの思いと、それにも増して、純粋に見たいという気持ちが、私の後ろ暗い気持ちを押しのけていったのです。
 そしてとうとう、唾を飲み込んだ私は、その部分に視線を向けていました。
 それは、文字通り、一本の縦筋に過ぎませんでした。膨らみを見せている胸とは対照的に、まさに子供のものだったのです。なにしろ、一切の翳りもなかったのですから。
 もっとも、少女のその部分に毛が生えるなどということは、当時の私にとっては思いもよらないことだったと思います。
 もちろん、母親と一緒に風呂に入っていた時分には、その部分を目にしているはずですし、ヘアヌードの写真集なども出回っていましたから、女性であろうとも、大人になればそこがどうなるのかということは、知識としては持っていたはずです。とはいえ、その時分の私には、やはりそこもファンタジーの世界そのものでした。どこか、現実世界とはリンクしていないような、そんな感覚を抱いてもいたのです。そのため、もしも彼女が発毛などしていたなら、それがどれだけ少量だったとしても、かなり狼狽していたのではないかと思います。
「る、瑠美ちゃん。割れ……、お股も洗うけど、いい?」
 無意識のうちに、大きく深呼吸をした私は、少女へと問いただしていました。深く考えて行動をしたわけではないはずですが、これはあくまでもお願いをされてやっていることだという、確たる言質が欲しかったのは否定できません。
「はい、和人お兄ちゃん。おちびりしちゃって、バッチイバッチイですから、きれいにしてください……」
 どこか甘えたような、子供っぽい口調でそう返された私は、あらためて意を強くしていました。そして、再び例の大義名分、つまり「子供の体を洗ってあげるだけ」という言葉を唱えながら、スポンジを移動させていったのです。
 優しく、丁寧な感じで、鼠蹊部から大陰唇に至るまで、スポンジでこすり上げていきました。普段目にすることのできない部分を、直に見て、スポンジ越しとはいえ触れているという興奮はもちろんありました。ですが、それでも胸のような明らかな感触があるわけでもないので、比較的冷静に洗うことができたと思います。
 やがて、すっかりと泡で覆われてしまったのを見て、この部分はこれで終わりだと思った、まさにその時でした。老人が、不意に声をかけてきたのです。
「まだ、終わりじゃないぞ、和人くん。中も、しっかりと洗わんとのぉ……」
 そして、少女に対して、こう指示を出したのです。
「ほれ、瑠美や。くぱぁ……、じゃぞ」
 その言葉を受け、彼女は両脚を少し開き気味にしました。立ったままです。そして、両手を動かし始めました。
 その様を、私は黙って見ていました。なにが起こるのか、皆目見当がつかなかったからです。
 彼女の右手、その人差し指、中指、そして薬指が、右側の大陰唇の膨らみへとあてがわれました。同じように、左手の三本は、左側の同じ部分へとあてがわれました。そして、その状態のまま、少女は不意に言葉を発したのです。
「くぱぁ」
 そう言うのと同時に、彼女は、手を左右に動かしていきました。それとともに、少女の一筋の縦割れが開かれていったのです。
 今や、私の目の前には、彼女の秘すべき部分が、それこそ余すところなく開陳されていました。であるならば、大陰唇の内側には小陰唇があり、その奥には膣穴と尿道口がある。そして、割れ目の一番上には、敏感な突起が包皮に覆われて鎮座している……はずでした。ですが、これらは、今現在の私の知識を元にして書いているに過ぎません。
 わざわざ手まで使って、割れ目を左右に押し開いたにもかかわらず、実際のところ、その内側はよく見えなかったし、よくわからなかったのです。それは、彼女の開き方が甘かったせいなのか、それとも、彼女ぐらいの身体的成長ではそれぐらいにしか開かないものなのか、それは今でもわかりません。
 ですが、はっきりと見て取ることができたとするならば、それはそれで、当時の私はショックを受けていたのではないでしょうか。グロテスクに感じたと思います。なにしろ、その部分は、ファンタジーの世界だったのですから……。
 それでも、再び生唾を飲み込んでいる自分がいました。少女のその部分そのものというよりは、この通常ならざるシチュエーション自体が、私に興奮を覚えさせていたのです。
「さっきも言うたが、ションベンで汚れとるからのぉ……。よぉく、洗ってやってくれんか」
 一瞬、その言葉の意味することが理解できませんでした。ですが、すぐに思い至りました。開いた割れ目の中も洗えということなのだと、わかったのです。
 そんなことをしてもいいものなのか、さすがの私も思わないでもありませんでした。その一方で、これが女の子の体の洗い方だと言われれば、それを否定する根拠を持ち合わせていなかったのも、また事実でした。なにしろ、まったく経験も知識もなかったのですから。であるならば、老人の言うがままに洗っていくより、仕方ありませんでした。
 そのため、その意向にそうべく、私が再びスポンジを移動させ始めた、まさにその時でした。老人が、想定外のことを告げてきたのです。
「和人くんや。スポンジでは、細かいところが洗えんじゃろうが。割れ目の中にも入らんしのぉ……」
 そう言われても、キョトンとした感じの私を見据えながら、老人は続けたのです。
「じゃから、指を使って洗うんじゃよ。割れ目の中に直接入れて、しっかりとな」
 そこまで言われても、とっさには、なにを言っているのかわかりませんでした。指を使って洗う、それも割れ目の中に直接入れて……。そう反復することで、突然、その意味するところが明瞭になったのです。
「い、いいんですか?」
「いいもなにも、そうせんことには、洗えんじゃろうて……」
 あまりのことに、そう問いただした私に対して、老人は平然と答えました
「い、いいの、瑠美ちゃん……?」
 それでも、いきなり実行に移すのはためらわれました。今更という気もしないでもありませんが、あらためて少女に確認をする自分がいました。やはり直接指を使って、少女の裸身に触れるということに、戸惑いを覚えたからです。
「和人お兄ちゃん。瑠美、くぱぁってしてるのも疲れちゃうから、はやく洗ってください……」
「ご、ごめん、瑠美ちゃん……。そ、それじゃあ、はやく洗っちゃうね……」
 逆に、そうとまで言われてしまっては、やらないというのもおかしなものです。
 私は、両手に持ったスポンジを床のタイルに置くと、右手を少女の秘すべき部分へと伸ばしていきました。今や、私の心臓は早鐘のように鳴っていました。やましく、淫らな気持ちは、当然のようにありました。ですが、これは老人と少女に頼まれたこと、ただ子供の体を洗っているだけなのだという言い訳によって、それを強引に押さえつけていました。
 遂に、少女のアソコに触れようかという、まさにその時でした。再び、老人が話しかけてきたのです。
「和人くんや……」
 私は、飛び上がらんばかりに驚いていました。そして、伸ばした右手を、慌てて引っ込めていました。それは、条件反射的なものでした。ですが、前言を翻して、老人が叱責してくるのではないかという思いも、拭いきれなかったのです。
「まずは、よく石けんをつけてからじゃ。なにもつけんでは、きれいになりずらかろうし、滑りも悪かろうて。なにしろ、敏感なところじゃから、優しく洗うためにも必要なことじゃて……」
 私は、慌ててボディーソープのボトルを手に取ると、それを手に出しました。そして、未だかつて、これほどしっかりと行ったことなどないのではないかと思うほどに、丁寧に泡立てていったのです。
 すっかりと泡だらけになった右手を、再び、少女へと伸ばしていきました。そして遂に、その人差し指と中指が、彼女の恥丘へと触れたのです。
 そこは、ぷにぷにとした、柔らかさを感じさせました。それは、スポンジ越しでは到底感じ得なかったに違いありません。なめらかなその感触に、私はしばしの間、時を忘れたかのように動きを止めていたのでしょう。
「柔らかいじゃろ?」
 突然の老人の問いかけでしたが、私は黙って頷くほかありませんでした。
「まずは、山の頂にそって、ゆっくりと、洗っていきんしゃい。そして、その後で、割れ目の中に指を入れて、洗っていくのがいいじゃろうて……」
 私は、夢でも見ているかのような感覚に陥っていました。まるで催眠術にでもかけられたかのように、無意識のうちに、手を動かし始めていたのです。
 老人の指示に従うかのように、まずはぷっくりと盛り上がった大陰唇を、撫でさすって……、洗っていきました。
「ゆっくりと、丁寧にじゃぞ」
 もはや、頷くこともせずに、それでもその言葉に従って、ゆっくりと、丁寧に、執拗なまでに、指を動かしていきました。
「んぅっ……!」
 少女が、微かに声を発すると、その体をピクリと微かに動かしたのがわかりました。ですが、もはや私は、彼女に話しかけることになど、思い至りませんでした。
「次は、割れ目の中じゃな。さっきも言ったが、敏感なところじゃから、慌てんでいいからのぉ……」
 私は、二本の指を、少女の割れ目へと差し込んでいきました。少女が手を使って押し開いているにもかかわらず、その内側は、やはりよく見ることができませんでした。それでも、指の第一関節ぐらいまで差し入れたところで、その最奥まで到達したことはわかったのです。
 そこは、非常に熱を帯びていることがわかりました。それは、明らかに浴場の熱気とは無関係のものだということも、知識はないながらも、本能的に理解できました。その感触に、息を飲んでいる私がいました。
「あまり、指を奥まで入れすぎんようにのぉ。傷つけんようにせんといかんて。なにしろ、女の子の、大事な、大事な部分じゃて……」
 その声を、どこか遠くのことのように感じながら、私は別のことに気づいていました。少女のソコが、湿っていたのです。そして、その液体は、少し粘り気を帯びていることがわかりました。
 それは、老人の言うところのお漏らし、少女の言うところのおちびりのためなのだと、その時の私は思ったものです。もっとも、冷静に考えるならば、それはおかしなことだとわかったでしょう。ずいぶんと時間も経っていたでしょうし、シャワーの湯もかけていましたから、オシッコが残っているはずなどなかったのです。
 もちろん、今の私にとっては、その液体がなんなのか、そしてその意味するところは、はっきりとわかっています。ですが、十六歳の男子高校生には、そこまでの知識はなかった……、もしくは知識としては持っていたとしても、現実として直面した時に、それと合致させるだけの経験がなかったことは否めなかったでしょう。
 そんな、オシッコだと思い込んでいる液体でしたが、不快さをまったく感じていない自分が、そこにはいました。その柔らかい感触、そして尋常ならざる状況に比べれば、そんなことは些末なことに過ぎませんでした。
「上下に、ゆっくりと、動かしながら洗っていきんしゃい……」
 その言葉に、私はやはり無言のまま、手を動かし始めました。最初は、単純な上下運動、その後、誰に教わったわけでもないのに、前後への運動も加えつつ、ゆっくりと、丁寧に撫でさすり……、洗っていったのです。
 不意に、ある音が頭上でしていることに、気づきました。それは、少女の鼻息でした。思わず見上げた私でしたが、彼女は目を固く閉じ、唇を噛みしめながら、息を荒くしているのがわかりました。
「だ、大丈夫、瑠美ちゃん……?」
 我に返ったかのように、慌ててそう問いただした私に対して、少女はただ黙って頷くのみでした。
「なぁに、瑠美はくすぐったりじゃから。いつものことじゃて、気にせんでもよい……」
 その言葉に、私も黙って頷きました。そして、再び洗い始めたのです。
 丁寧に、ゆっくりと、執拗なまでにこすり上げていきました。にもかかわらず、そのヌメッとした液体が減っていないことに、私は気づき始めていました。それどころか、ますます粘度を上げるとともに、量が増しているようにも感じていたのです。
 今や、彼女は両手からすっかり力が抜けてしまったと見え、その割れ目は元の縦筋に戻ってしまっていました。それを押し分けるかのように、私の指がその部分をまさぐって……洗っていましたが、一向にぬめりが取れないことに、私は少し焦りを感じ始めていました。そのため、手の動きが荒くなっていたようです。
「和人くんや、もっとゆっくり、丁寧にじゃ。そんなに力を入れては、瑠美も痛がってしまうわい……」
「す、すみません。でも、なんだかぬるっとして、きれいになっていないような気がして……」
「なんじゃ、そのことかね。もっとはやく言えばよかったのぉ。それは、気にせんでも、大丈夫じゃ。なにしろ、キリがないでのぉ……」
 その老人の言葉は、孫娘の身になにが起きているのか、完全に理解しているということを意味していました。少女のソコから、止めどもなく愛液があふれ出ているということです。であるならば、彼女はもはや子供などではないということも、当然にわかっていたはずです。
 もっとも、その時の私は、そのことにまで気づいてはいませんでした。液の正体についてもわかっていなかったのですから。それでも、心の奥底で、なにかがおかしいという疑念が徐々に芽生え始めたのは、この頃だったのかもしれません。
「もう、それぐらいでいいじゃろう。最後に、一番上に突起があるから、ソコをひと洗いして、終わりにしようかのぉ……」
 疑念にもかかわらず、その言葉に忠実に従った私は、割れ目に入れたまま指を一番上まで移動させると、引き抜き際にその部分をこすり上げたのです。
「んんっ!」
 その瞬間、少女がひときわ大きな声を上げました。そして、上半身を軽く仰け反らしたかのように思えたのです。
「だ、大丈夫、瑠美ちゃん!」
 さすがに慌てた私でしたが、少女は肩で息をしたまま、なにも答えませんでした。
「大丈夫じゃ、心配せんと。くすぐった過ぎただけじゃろうて」
 事もなげにそう言った老人でしたが、私はなにか大変なことをしてしまったのではないかと、すっかり狼狽していました。
 ここで、誤解がないように付け加えておくならば、この時の私は、彼女の割れ目の中を洗った……、はっきりと言えば、愛撫したに過ぎません。決して、彼女の膣穴や尿道口に挿入をしたわけではなかったのです。とはいえ、未経験の少年ですから、それこそ少女を犯してしまったのではないかぐらいの衝撃を受けていたのも、また事実でした。
「だ、大丈夫です……。お爺ちゃまの言ったとおり、くすぐったかっただけ……」
 どれぐらい経ってからでしょうか。ずいぶん長かったような気もしましたが、実際には一分ぐらいだったでしょうか。少女は、奇妙に艶めかしさを感じさせる表情を見せながら、その顔を上気させていましたが、それでもはっきりとそう答えました。
 やがて、彼女はすっかりと落ち着きを取り戻したかのように見えました。その表情も、幼さを感じさせる、あどけないものへと戻っていました。
「次は尻じゃな。瑠美や、後ろを向きんしゃい」
「はぁい、お爺ちゃまぁ」
 はにかみながらも、甘えたような口調は、すっかり元と同じものでした。
 彼女の尻たぶを目の前にしながら、私は両手を、その部分にあてがっていきました。スポンジのことなどすっかりと忘れ去り、それまで同様に素手のまま行ってしまいましたが、老人も少女も、やはりなにも言ってきませんでした。
 揉みしだくかのような感じで、その双臀を洗っていった私でしたが、それはほんの数秒もあれば済んでしまうことでした。どうやら、その部分にフェチはなかったと見えて、それほど時間もかけずに終わってしまったのです。
「和人くんや、まだ終わりではないぞ」
 ですが、やめようとした私の気持ちを察知したかのように、老人が再び声をかけてきました。
「尻の割れ目も洗わんと、いかんじゃろうて。なにしろ、糞がついておるからのぉ……」
 そして、孫娘に対して指示を与えたのです。
「ほれ、瑠美や。いつもみたいに、前屈みになって、くぱぁ、じゃ……」
 少女は目の前で、上体を前に倒しました。数秒後には、しなやかな動きと、体の柔らかさのために、折り目正しいまでのきれいな前屈姿勢を見せていました。
 そのため、目の前には少女のお尻が、まるで突き出すかのようにしてありました。そして、彼女は両手を器用に自らの白い双子の山にあてがうと、こう言ったのです。
「くぱぁ」
 左右に押し広げられた二つの山の谷底が、今やすっかりと露わになっていました。そこは、老人の言葉とは裏腹に、なにも異物など存在しないかのように感じられました。
「ちょっと色の濃い、菊みたいなすぼまりがあるじゃろうて。そこが、尻の穴じゃからのぉ、よく洗ってくれんか。糞がついとるじゃろうから、悪いんじゃがのぉ……」
 その言葉に、私はやはり無意識のうちに、手を伸ばしていました。
 まじまじと見つめたソコには、やはり老人の言葉に反して、なにも汚物などはついていないように思えました。もっとも、その時の私にとっては、どうでもよいことだったかもしれません。
 少女の可憐な菊座を、指先を使って丁寧に洗っていきました。それは、揉みしだくような感じ……、いえ、はっきり揉みしだいているにほかならなかったのですが、少女も、そしてもちろん老人も、さも当然のように、なにも言ってきませんでした。
「奥まで入れる必要はないが、ちょっとだけ指を入れて、すぼまりの中もきれいにしてやってくれんかのぉ。糞があるから、無理にとは言わんが……」
 やはり催眠術にでもかけられたかのように、私はそのすぼまりに指を挿入していきました。不思議なことに、まったくイヤだという感じはしませんでした。
 挿入したと言っても、せいぜい指の第一関節ぐらいのもので、奥深くまで入れたわけではありません。それでも、次第に少女が、身をよじらせるような感じを見せ始めたことは、わかりました。
「うぅんっっ……」
 少女が、再び声を発しました。ですが、もはや私は、指の動きを止めることなどできずにいました。
 どのぐらい洗って……、まさぐっていたのでしょうか。少女の不浄の穴を見つめながら、その部分に自らの指を差し込んでいる様は、まるで白昼夢でも見ているかのようでした。
「のぉ、和人くんや。もう、いいじゃろうて。儂が頼んでおいてなんじゃがのぉ、瑠美もずいぶんとくすぐったそうじゃて……」
 その言葉に、再び現実へと引き戻された私は、慌てて指を引き抜きました。そして、今更のように、少女が再び肩で息をしていることに、あらためて気づいたのです。
「あとは、脚だけじゃが、そこは普通に洗えばいいからのぉ……」
 内心では、やはり狼狽をしている自分がいました。ですが、そのことを気にしても、しょうがないとも思っていました。今までしたことを考えるならば、あまりにも今更のような気がしていたからです。
 前屈したままの少女の右脚に私の右手を、そして彼女の左脚に私の左手をあてがうと、上下にこすり始めました。素手のままです。
「まぁ、素手で洗うか、それともスポンジを使うかは、和人くんにまかせるがの。きれいにさえなれば、どちらでもよいことじゃて……」
 その言葉に、私は今更のように、素手のままで、少女の体を触り続けていることを思い出しました。そして、慌ててスポンジを手にした私のことを、老人はどこか微笑ましげな表情で眺めていたのです。
 実際に、トータルではどれぐらいの時間がかかったのでしょうか。長かったような、それほどでもなかったような、なんとも不思議な感覚に陥っていました。ですが、やっとのことで少女の全身を洗い終えた私は、最後にシャワーを使って、泡を洗い流していきました。
「やれやれ、やっと終わりじゃな。和人くんには手間をかけさせて、ほんに悪かったのぉ……」
「い、いえ……」
 今更のように、恥ずかしさがこみ上げてきた私は、少しどもったような感じでそう答えました。
「ほれ、瑠美や。ションベンや糞まできれいにしてくれたんじゃぞ。しっかりとお礼を言わんかい」
「和人お兄ちゃん。瑠美のお体、きれいきれいしてくれて、ありがとうございます」
 ですが、少女はまったく無邪気なものです。再び直立し、そう礼を言った彼女は、ぺこりと頭を下げてきました。その様は、体を洗っている途中に見せた、どこか艶めかしい感じなど、まったく感じさせないものでした。
「次は、儂らが洗う番じゃな。のぉ、和人くんや」
「は、はぁ……」
 確かに老人の言うとおりだったでしょう。少女の体を洗い終えた今となっては、私たちが洗う番だというのは理解できました。
「お爺ちゃまぁ、座ってください」
 相も変わらず、甘えたような、それでいてはにかんだような口調で、少女は祖父に促しました。ですが、老人はそんな彼女に対して、こう言ったのです。
「今日は和人くんが洗ってくれたんじゃから、儂ではのうて、和人くんにやってあげんしゃい……」
 その言葉に、キョトンとしている私の方へ、少女が向き直りました。両手には、先ほどまで私が使っていた、アニメ柄のスポンジを手にしたままです。
「和人お兄ちゃん、座ってください……」
 少女は、私を見つめながらそう言いました。そして、それでも戸惑いを見せている私に対して、次のように続けたのです。
「瑠美、和人お兄ちゃんのお背中、お流しします」