こんど六年生になる見ず知らずの女の子と一緒に、温泉に入る話

第三話 おちびりしただけ

 思春期を迎えて以来、雑誌などでしか見たことのない、女の子のおっぱい。それを、とうとうまじまじと見ることができる。その期待感に、私の心が高まりを見せていた、まさにその時でした。
「上は終わりじゃな。和人くん」
 老人から、突然声をかけられ、私は心臓が止まる思いでした。
 ですが、老人はすぐに少女の方へ向き直ると、新たなる指示を出したのです。
「次は斜め下じゃ、瑠美」
 彼女は、それまで上に掲げていた両手を、斜め下方向へと降ろしました。
 その動きに合わせ、少女の胸が揺れたようにも思えましたが、もはや私は、それを直視することができませんでした。第二次性徴を迎えた女の子の胸を凝視しようとした、そんなやましい気持ちが老人に見透かされたような気がして、急に恥ずかしさに襲われたからです。
「わかるのぉ、和人くん? 次は、パンティーじゃぞ」
 現在では、あまり使う言葉ではないと思います。当時としてもどうだったのか、それはわかりません。ですが、いずれにせよ、老人はたしかにそう言ったのを覚えています。そして、当時の私も、その言葉がなにを意味しているのかは、当然わかっていました。
 しゃがみ込んだ私の目の前に、彼女の「パンティー」がありました。ですが、それは「パンティー」などという、そんなセクシーなものではありませんでした。
 木綿製のそれは、臍までも覆ってしまうほどに大判のものでした。股繰りもそれほど急角度ではありません。腰回りにも脚周りにも、ゴムが通っているのでしょう。その部分には皺が寄っているものの、布地の部分は締め付けがなく、どこかダボッとした印象を抱きました。
 それは、「パンティー」などではなく、「子供用のパンツ」だったのです。そして、さも当然のように、そのフロント部分にはカラフルなキャラクターたちが印刷されていました。ですが、それらは、スリーマーとは別のアニメのものだということもわかりました。先ほどのものが、どちらかというと原色を多用した、派手なキャラクターだったのに対して、こちらはどこか淡いような、少し優しい感じのキャラクターたちだったからです。
 その違いに興味をひかれた私は、無意識のうちに、少し顔を近づけていったようです。そうすると、そんなかわいらしいキャラクターたちが、少し湿ったように変色していることに気づきました。それは、プリントされていない、地の白い部分も同様でした。それと同時に、ツンと鼻をつく臭いも、微かにですが感じたのです。
 そのことに気づいたためなのでしょうか。それはわかりませんが、老人も私と同じように、孫娘のパンツ……、彼が言うところの「パンティー」を覗き込んできました。
「どれどれ……。やっぱり今回も、ションベン、もらしておるのぉ……」
 その言葉に、薄黄色い変色と異臭の正体がわかりました。そのことに驚いて、少女の顔を見上げると、その頬を朱に染めているのが見て取れました。
「ち、ちがうの、お爺ちゃま……。おもらしじゃなくって、おちびりしちゃっただけで……」
 必死に弁解する彼女でしたが、祖父の心には響かなかったようです。
「同じことじゃ……。瑠美は、おシモの弱い子じゃて、しょうがないのぉ……」
 老人は、しみじみとそう言うと、さらに言葉を続けました。
「もうすぐ六年生にもなるというに、こんなにもおシモが弱いんでは、昼もあれを穿いた方がいいかもしれんのぉ……」
「…………」
 祖父の話を聞いて、少女は黙り込んでしまいました。
「まぁ、それは後のことじゃて……」
 しょうがないというような口調でそう言うと、老人はあらためて、私に向かって告げました。
「待たせてすまんのぉ、和人くん。ションベン臭いパンティーじゃが、脱がせてやってくれんかね」
「は、はい……」
 そう答えた私は、胸が早鐘のように鳴っていたはずです。この薄布の向こう側にあるもの……、それに思いを巡らせると、そうならざるを得なかったのです。
 そして、腰ゴムの部分に手をかけた私は、そのまま一気に、くるぶしまで引き下ろしてしまいました。それにあわせて、少女が片方ずつ脚をあげてくれたおかげで、完全に抜き去ってしまうこともできました。
 抜き去ったパンツ自体は、当時の私にとってはただの布きれに過ぎませんでした。そのようなフェチはなかったからです。そんなものよりも、彼女の秘されていた部分に視線を向けようとした、まさにその時でした。
「のぅ、和人くん?」
 急に呼びかけられた私は、飛び上がらんばかりに驚きました。そして、またもや自分のイヤラシい考えが見透かされたような気がして、それ以上は、視線を動かすことができなくなってしまったのです。
「な、なんですか……?」
「悪いんじゃが、瑠美のパンティー、見せてくれんかのぉ」
 私は目を伏せたまま、薄布の塊を老人に渡しました。
「やっぱりじゃ。糞までついとるのぉ……」
 そんな言葉に、私は思わず、彼を見上げたのです。
「ほれ、見てみぃ……」
 そう言うと老人は、そのパンツをひっくり返しました。そして、少女と私からよく見えるように拡げると、こう続けたのです。
「こんなに糞がついておって……。あれほどしっかり拭くようにと、いつも言うておるのに……」
「る、瑠美、ちゃんと拭いたもん……」
「じゃあ、これはなんじゃ?」
 そう言って老人は、ひっくり返したパンツを、さらに前へと突き出しました。たしかに、そのパンツの内側、ちょうどお尻の割れ目にあたるだろう部分には、茶色いなにかが縦方向に付着しているのが、私からもはっきりと見て取れたのです。
 決定的な証拠を見せつけられたからなのか、少女は再び黙り込んでしまいました。
「こんなんでは、やっぱり昼も穿かせた方が、瑠美のためじゃて。それですべて解決するからのぉ……」
 再び、やれやれという感じの老人でしたが、それ以上はなにも言いませんでした。そして、もう一度私のことを見下ろすと、こう告げたのです。
「最後は、靴下じゃて……」
 そして、あらためて少女の方へ向くと、新たな指示を出しました。
「ほれ、瑠美。そこの椅子に腰掛けんしゃい。和人くんが、脱がせやすいようにのぉ」
 その言葉に、少女は、傍らに置かれていた椅子へと腰掛けました。そして、まずは右脚を軽くあげてくれたのです。
 さすがにどうすればいいのか、それは言われなくともわかりました。靴下を脱がせることぐらいは、さすがにできます。そのため、彼女の元へと近づき、その場にひざまずきました。
 彼女は、履き口に二段フリルとサテンリボンのあしらわれた、白いハイソックスを履いていました。それを、まずは右脚、そして左脚と脱がせていきます。そんな作業中、私は彼女の脚から視線をあげることができませんでした。自分の前には、ほぼ全裸ともいえる少女が、腰掛けていました。そんな彼女が、脚を開いて、あまつさえ持ち上げるような格好をしているのです。少しでも視線をあげれば、彼女の秘すべき部分のすべてがはっきりと確認できるだろうことは、高校生の私でもわかっていました。
 ですが、できませんでした。それまで、彼女の裸体をつぶさに見ようとするたびに、まるで狙い澄ましたかのように老人が話しかけてきたことが、私の行動に枷をかけていたのです。自分の淫らな心を見透かされているようで、恥ずかしさが先に立ってしまったのです。
「やれやれ、やっと終わったのぉ……」
 老人の言葉に、ようやくのことで、すべてが終わったのだと、私自身も思いました。実際の時間は、それほどかかっていなかったはずです。それでも、ずいぶんと長いことかかったような、そんな気がしたのも事実でした。
「もうすぐ十一にもなるというに、ほんに、瑠美は甘えんぼじゃから……」
 そして、立ち上がったまま、所在なげに視線を下に向けていた私に、こう告げたのです。
「和人くんには、悪かったのぉ。瑠美の服なぞ、脱がせてもろうて……」
「い、いえ……」
「ほれ、瑠美。言うことがあろうに」
 そんな祖父の言葉に、少女は立ち上がると、私の傍らへとやって来ました。すっかり露わとなった、自分の裸身を隠すこともなくです。
「和人お兄ちゃん、瑠美のお洋服を脱がせてくれて、ありがとうございます」
 そう言った彼女は、ぺこりとお辞儀してくれました。それにつられ、おかっぱ髪が揺れているのはわかりましたが、少女の裸体そのものは、やはり見ることができませんでした。気恥ずかしさに負けてしまったからです。
「そうじゃ、瑠美。お礼に、和人くんを脱がせてやったらどうじゃ」
 老人のその言葉に、私は慌てふためきました。
「い、いえ……、だ、大丈夫です。自分で脱ぎますから……」
「遠慮などせんとも、ええじゃろう。なぁ、瑠美」
 その言葉を受け、コクリと頷く少女を見て、私の狼狽はますます強くなりました。
「ホント、大丈夫ですから……」
 そう言って私は、老人と少女に背を向けると、急いでスラックスを脱ぎました。先手をとったわけです。そして、トランクスも脱いでしまうと、タオルを腰に巻き付けたのです。
 もちろん、そんなに慌てたのには理由がありました。私の起き上がってしまったモノを、少女に見られたくなかったのです。それは、ビックリさせてしまうだろうという考えと、それ以上に、純粋に恥ずかしいという気持ちからでした。とはいえ、タオルの前側が少し突っ張ったようになっていましたから、その内側がどういう状況になっているのかは一目瞭然だったのですが、少女にはその知識がないことを、私は願うしかありませんでした。
「なんじゃ、遠慮なんぞしおって……。まぁ、もう脱いでしもうたのではしょうがない……」
 そう呟いた老人は、孫娘に向き直って、こう言ったのです。
「脱がせてもらった服ぐらいは、自分でかごに入れんしゃい」
 少女が行動に移したのを確認して、老人は自らの浴衣と下着を脱いでしまいました。
「いやぁ、待たせたのぉ、和人くん。それじゃあ、入るとするかのぉ……」
 そう言うと老人は、浴場との仕切り扉を開けました。
 スポンジだけを持った、第二次性徴を迎えた全裸の少女。タオルは持っているものの、局部を覆い隠すでもない老人。そしてタオルでしっかりと局部を覆い隠した私。そんな三人は、湯気でけぶる浴場へと入っていったのです。

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